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徳島で育まれる世界一のものづくりの企業文化

  • 日亜化学工業株式会社
  • 2018.10.26
  • 徳島県阿南市他

徳島県阿南市で1956年の創業以来60有余年、世界水準の革新的な技術や製品を生み出し続ける「日亜化学工業株式会社」。
四国から、なぜ世界を驚かせる技術や製品が生まれ続けるのか。その背景を深堀りすると、制度などの外形的な面だけに留まらない、創業時から脈々と生きる日亜化学工業の「文化」に行き着いた。ものづくりや技術を大切にし、技術者を信頼し、新しい挑戦を尊重する自由で大らかであたたかい、日亜化学工業の企業文化。日亜化学工業にとっての“当たり前”こそが、世界一のものづくりを支える土壌となっている。
今回、Iターンで転職され製造技術を担当する大西さんと、同じく転職後にシステムの開発や運用を担当する埜下さん、Uターンで転職され長らく技術部門で働いた後に現在は人事を担当する大黒さん、お三方から話を伺った。

 

――転職のきっかけ、転職の際に何を大切にして企業を選んだのか

大西:前職では兵庫勤務で、愛媛の工場へ頻繁に出張していたのですが、出張先が茨城の工場に変更となる可能性が高まり、転職を考えました。私が島根出身、妻が大阪出身なので、勤務地が両者の地元から遠くない企業を探しました。日亜は転勤があったとしても徳島県内なのが決め手のひとつでした。あとは、仕事と共に家庭の時間を持てる点を重視しました。

埜下:新卒から5年間東京でシステムエンジニア(SE)として働いており、後に妻となるパートナーは地元の徳島で働いていました。結婚を考え、パートナーと話し合った際に、私の実家が愛媛県であることや、SEは場所に縛られず仕事ができること、パートナーが仕事を変えにくいこともあり、自分が徳島で転職することに決めました。新卒時と比べ、業務をある程度理解しているので、細かく仕事内容に考えを巡らせ、長く楽しく働けてかつ自分の能力を発揮できる仕事か、という点を重視しました。

 

(製品の品質・供給量の安定化と工程の合理化を担当する大西さん)

(製品の品質・供給量の安定化と工程の合理化を担当する大西さん)

 

――前職との違いを感じる点

大西:前職の居住地は、電車も2路線通っていて利便性は高かったです。ただ、出身地の島根が車社会だったので、電車を使う暮らしより徳島の方がより馴染みがあります。社風面では、日亜は何かミスが起きた際に、個人の責任でなく全体でどうするかを大切にする風土で、仕事がやりやすいですね。また、例えば新しい装置の導入の際に、多少高額のものでも理にかなっていれば認めてもらえ、やりたいことがやれる風土があります。

埜下:東京での電車通勤に比べて通勤が楽になりました。社風面では、新しいことに取り組みやすい雰囲気があると感じます。新しい挑戦に声をあげると、上司も快く受け入れてくれますし、新しいシステムの導入にも積極的で、新しい技術に触れる機会も増えました。また定時に帰りやすい雰囲気もあり、前職よりも残業時間が少なく、家庭の時間が多くとれるのが良いですね。育児休暇もとりやすい雰囲気があり、子どもが生まれた際に仕事と家庭を両立しやすいと感じています。

 

(IT開発部でSEとして社内システムの開発や運用を担当する埜下さん)

(IT開発部でSEとして社内システムの開発や運用を担当する埜下さん)

 

――ものづくりを支える土壌、社員の挑戦を後押しする風土

日亜化学工業を支える企業文化。ものづくりや技術への投資を惜しまず、技術者の新しい技術への挑戦を後押しする姿勢、そして自由闊達で大らかであたたかい日亜の風土が、社員の言葉の端々から垣間見える。

大黒:私は中途入社後ほとんどの期間を技術者として過ごし、人事に配属されて9ヵ月になります。この度、改めて調べてみると日亜は中途採用者が全従業員のうち40%もいますが、中途採用者のハンデや区別は全くありません。風通しが良く、技術者のやりたいことを尊重してくれるので、新しく入る人も働きやすいと思います。また会社の伝統として、「勉強してください」という風土があります。社是も「勉強しよう」で始まり、よく考え、よく働き、そして世界一の商品をつくるというのが創業時からの理念です。実は日亜には、予算制度がありません。「必要なときに必要なものを供給するから、手を挙げてください」という形になっています。私も昔、当時の社長に、廊下での立ち話で、あるシステムの必要性を伝えると、金額を問われ、その場で稟議が通ったことがありました。「本当に必要なものには投資を惜しまない」という考え方が経営陣にあります。最近は稟議書も作成しますが、世間一般に要求される形式承認や体裁チェックより、必要性についての本質的な要件が問われ、年度に関係なくタイムリーに判断が下されます。
日亜にも60年以上の歴史ができ、各部門にその道の大家と言えるベテラン技術者がいます。その知識や考え方、会社での生き様まで若い人に伝達したいと考えており、彼らを講師とした講座を始めました。またもうひとつ、社内で「日亜アピールフォーラム」という各職場の世代を問わず選ばれた代表者が仕事や技術をアピールする場を設けています。事業が拡大し幅広い部門がある中、優れた人材や技術にアンテナを張ることで、社内情報の良い流れを生み出し、新しい発想が生まれていくよう意識しています。例えば、共通のテーマに興味を持つ人の間で、社内SNSで情報交換を行い、新しい技術や制度について検討しています。「もっと勉強したい」という技術者に届く、良い情報の流れを構築する必要性を感じています。

大西:確かに、新しい装置を入れる際に調達や情報の部署と連携しますが、初めて会う方でもスムーズに仕事が進みますね。

 

(技術部門で長く勤めた後、現在は人事部で社内をマネジメントする大黒さん)

(技術部門で長く勤めた後、現在は人事部で社内をマネジメントする大黒さん)

 

――技術力の高さを支える日亜化学工業の根幹を成す考え方

大黒:日亜からはなぜか良いタイミングで新しい技術が生まれてきます。それは、物の原点に戻るという会社の開発の仕方に理由があると感じています。特に技術系の経営陣がよく言うのは、「必ず物を触りなさい・見なさい」ということです。電子デバイスが充実し、データで確認する機会も増えましたが、現物の製品から捨てる廃棄物まで必ず物を見るよう指摘が入ります。また、日亜にはおもしろいことに、新しい技術を開発する際の締め切りがありません。もちろん、お客様との関係で締め切りを守らないといけない仕事もありますが…。予算制度もないので、決められた期間内に必ず研究の成果を出さないといけないとうい形式的な成果出しは全くなく、「なぜだろう」と突き詰められる開発の仕方となっていることこそ、日亜の1番の強みとなっているのではないでしょうか。

 

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(新しい技術が生まれる日亜の職場風景)

(新しい技術が生まれる日亜の職場風景)

 

(1993年に、「20世紀中には困難」とされていた青色LEDの製品化に成功。その後、蛍光体メーカーならではの発想と技術で、青色LEDと蛍光体を組み合わせた白色LEDを開発し、新たな光源として世界中に普及が進んでいる)

(1993年に、「20世紀中には困難」とされていた青色LEDの製品化に成功。その後、蛍光体メーカーならではの発想と技術で、青色LEDと蛍光体を組み合わせた白色LEDを開発し、新たな光源として世界中に普及が進んでいる)

 

――徳島、阿南の地に貢献したいという想い

日亜化学工業は世界に展開する製品や技術を数多く有しながら、徳島に拠点を集約している。グローバルな展開を進める中で、徳島に拠点を置き続ける背景には「地元に貢献したい」という日亜の強い想いがある。

大黒:徳島に拠点を固めているのは、創業者の考え方に基づいています。創業者が、阿南の地で会社を始めたのは「地元に貢献したい」という想いからです。「日本で、徳島で、良いものづくりをして、つくるものは世界に売っていく」というところから出発しているので、まだまだ拠点は徳島に置き続けていきたいと考えています。最近では、海外にも徳島から十分に情報発信ができるようになっています。海外への情報発信拠点は一時東京にもありましたが、今は情報発信拠点を全て徳島に置いています。欧米に駐在していた社員も本社に戻り、徳島から海外に直接情報を発信する体制をとっています。現在扱っている商品が、LEDやバッテリーの材料等の小型軽量のものが多く、物流に乗せやすいというのもあります。

大西:(徳島に拠点が集中していると)タイムリーに情報を共有しやすいですね。前職では海外に拠点があり、社内での情報共有や、海外のお客様との商談でも、電話会議やテレビ会議を行う際にも時差があって予定が合わないこともありました。

埜下:製造拠点を徳島県内に固めていると、実際に現場に行って作業をする人は働きやすいと感じますね。

 

(日亜化学工業の本社とその周辺の様子=徳島県阿南市)

(日亜化学工業の本社とその周辺の様子=徳島県阿南市)

 

――働く社員が感じる、日亜化学工業の強み

大西:都会で働かれている方の中には、残業も多くて疲れが溜まっている方も多いと思います。日亜は仕事と生活のバランスが高いレベルでとれている会社です。私は山やキャンプが好きなので、休日も有意義に過ごせる環境があります。徳島に拠点がある日亜であれば、どの拠点に配属されても同じ生活を送ることができます。海が好きなら徳島県南部に行けば良いですし、生活面や余暇面を高いレベルで満たせるのは日亜の強みですね。

埜下:IT面での強みをもっと外に発信していけないかと考えています。日亜のシステムは、一般的な民間企業の持つシステムより非常に水準が高く、あるシステムだと西日本一のものが入っていて、「何故こんな地方にこんなシステムが入っているんだ」と思える程の高い水準です。徳島でも最先端のシステムに触れられるIT拠点があることを発信し、知ってもらえれば、IT関係の方で「日亜で働きたい」という方がもっと増えるのではないかと思います。

大黒:働いている仕事自体のおもしろさを発信していけたらと思います。私もこの20数年、日亜で仕事をしてきましたが、とても楽しかったです。この感覚や経験を、特に若い人たち、30代や40代の人たちに伝えていければ、「日亜で働いてみよう」と考えてくれる人がもっと増えてくるのではと思います。私は元々電気系のエンジニアで、「日亜化学工業」という社名を聞いて、電気系・電機電子系の仕事があるとは思いませんでした。しかし、実際に入ってみると、いろいろなセクションがあり、多岐に亘る電気系の業務があります。
またもうひとつ発信したいのは、日亜はシェアの高い素材や材料を販売しているため、様々な情報が集まってくることです。特にLEDひとつをとってもいろいろな業界から問い合わせが入ります。幸い、日亜の名前は材料メーカーとしてよく知られているので、国内でもヨーロッパやアジアに行っても、話を聞いてくれます。逆に、「日亜はどの商品を紹介したいんだ」と向こうが聞いてくることもあり、こんな良い条件で話ができることはなかなかないのではないでしょうか。この強みを生かして、できる限り情報発信して、「日亜は次にこれをやろうと思っている」「これならばあなた方にも役に立てるのではないか」という問いかけを行うことで、より日亜の技術が世界に広がっていくのではないかと考えています。

 

(やりがいを持って働く日亜化学の社員)

(やりがいを持って働く日亜化学の社員)

 

――日亜化学工業が描く未来

大黒:日亜が存続してこられた理由をよく考えてみると、お客様のニーズや意見をよく聞いてきたという点があります。お客様の声をよく聞き、自分たちの製品だけでなく、お客様の製品もいかに世の中に受け入れられるかをずっと意識してきました。自分たち本意のものづくりをしていてはダメで、お客様に評価されて初めてそれが世界一のものになる、そんなものづくりを目指そうと考えています。今まで日亜は、商品は一生懸命売り込んできましたが、会社自体のブランドを売り込むことをずっとやってきませんでした。まずは会社の中の人たちに日亜というブランドを感じてもらい、そこからお客様に発信していきたいと考えています。そして最後は、徳島の地に働きやすい環境をつくりたいと考えています。

 

 

●日亜化学工業の採用ホームページはこちら

http://www.nichia.co.jp/jp/about_nichia/recruit_index.html

 

制作:四国経済連合会
取材:一般社団法人四国若者会議

 

四国へ就職・転職し、ご活躍中の皆さんへのインタビューを通じて、
四国の企業やUIJターンに関する情報をお届けします。

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