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都会ではなく愛媛でクリエイティブな仕事に携わることのおもしろさ

  • セキ株式会社
  • 2019.04.16
  • 愛媛県松山市他

“クリエイティブな仕事”は都会の方が種類も多く、仕事の中身もおもしろい。
確かに、Webも映像もグラフィックも、制作やデザインやプロデュースの仕事を志す若者は、そういう想いから四国を離れて都会で仕事を探すことが多い。
しかし、地方のそうした仕事に本当におもしろさは無いのだろうか。決してそんなことはない。愛媛県松山市で印刷業を基盤として、出版やWeb制作、プロモーションなど幅広い事業を展開するセキ株式会社。今回、東京からUターン転職した柳原さんは「地方だからこそのクリエイティブな仕事のおもしろさ」について語ってくれた。

 

(お話を伺った柳原さん)

(お話を伺った柳原さん)

 

――現在の業務内容、Uターンのきっかけ

柳原:Webサイトのディレクションやお客様への企画提案が主な業務です。自社メディアの運営なども担当しています。Webの仕事は、主事業である印刷の仕事と比べて、まだまだこれからの分野なので、地域や市場の反応を直に感じながら仕事を進めています。
Uターンのきっかけは、30歳の節目となる時期に、これからの人生をどう過ごし、どこに根を張って生活するかを考えたことです。親孝行したいという想いもありましたので、地元の愛媛県で今後の人生を過ごそうと考えました。新卒では電機メーカーの法人営業を5年担当した後に、Web制作会社に転職して新規営業を担当しました。20代後半でUターンを意識し始めたのですが、東京でやり残したことはないか考え、再度転職して通信販売の運営・広報等を経験した後に、愛媛にUターンしました。
今思えば、大学進学時は、とりあえず都会に出ることしか頭に無かったですね。将来のことなど考えていませんでした。新卒で就職するときも将来的に愛媛に戻るという考えはなく、社会人になって5年ほど経ち、ようやく自分の仕事観を考え始めました。

現職へ転職する際には、Uターンがまず頭にありました。地元で成し遂げたいことに必要な環境を探すという感覚です。地域の役に立ちたいという想いがあったので、都会で身につけたスキルやノウハウを活かすことができないか、自分が社会で実現していきたいことを叶えるためにどんな環境に身を置くべきか考えました。地方のWeb関連のサービスは、都会と比べてすごく遅れています。企業がWebに投資できる予算も決して潤沢ではなく、意識もそれほど高くありません。インターネットの強みは場所を問わないところにありながら、その恩恵を多く受けることができる地方中小企業が活用しきれていないと感じます。Webは使い方次第で効果が大きく変わるので、制作だけでなく「Webをどう上手く使うか」という広い視点で役に立ちたいと考える中、Webと親和性があり、地域に根ざし、広く大きな仕事ができる印刷業界の可能性はずっと頭にありました。前職で発注側の立場として印刷会社と付き合いがあったこともあり、企業のプロモーションに密接に関わる印刷会社はWebと親和性が高いに違いないと考えるようになりました。地域に根ざしてお客様にこまめに足を運びながら、地方におけるWeb活用の促進を印刷会社でやっていくというビジョンを描き、その中でもセキは、特に地域に根ざした信頼関係の中で仕事をしている会社だと感じました。

 

キャプチャ

 

キャプチャ2

(セキが制作する自社の新卒採用情報Webサイト)

 

――都会ではなく愛媛でクリエイティブな仕事に携わることのおもしろさ

柳原:自分の手がけた仕事が社会の中で跳ね返ってきやすいですね。都会は、それこそ仕事も多いですが同業他社も多く、良くも悪くも自分の仕事が埋もれてしまいます。広く知られた仕事は大手の広告代理店がやっていることが多いですし、仕事内容は同じでも、跳ね返りが見えづらい仕事が多かったように思います。地元に帰って来ると、自治体や地元で広く知られる企業と仕事ができ、僕たちの仕事を地域のみんなに知ってもらえるというのが大きいですね。
また、0を1にする仕事と100を200にする仕事ではやり方もおもしろさも違ってくると思います。地元での仕事は0を1にする楽しさがあると感じています。前職では既に出来上がった事業の一担当者という位置づけでした。今の仕事は、セキでの仕事を通じて、地元におけるWeb活用を推進し地域社会に貢献している感覚があります。例えば、地域の企業を対象にセミナーなどを行う場合も、都会では当たり前のように手順やノウハウがマニュアル化されていますし、そういったサポートを行っている会社もたくさんありますが、地元ではゼロから形にしていきます。今まで無かったものを形にして継続していく中で売上がついてきていたり、直接リアクションや評判につながったりするところが楽しいですね。
また、都会で仕事を行う場合は、プランニング会社、制作会社、広告配信会社…と専門会社を集めたチームをつくり、各分野で役割分担して仕事を行うケースが多いです。しかし、そういう専門会社は都会に集中していることもあり、地元において身近な存在では無いので、オールラウンドに一気通貫で相談できる会社が求められるように感じています。実際に松山市においてもすべての領域を十分にサポートできる規模の会社は少なく、今後、セキが地元でそのポジションを獲得していくための戦略を立案して、結果が目に見える形で残っていくというのも楽しいです。
また、セキにはお客様のメリットを大切にするという文化がしっかり根付いていると感じています。自分たちの提案がお客様にとって最適な選択なのかという視点に乏しい会社もある中、もちろん利益を追いかけることも重要ですが、それ以上にお客様の最適解を追求する姿勢が社風として根付いていると思います。

 

(近い距離感で、お客様の方を向いて仕事を進める柳原さん)

(近い距離感で、お客様の方を向いて仕事を進める柳原さん)

 

――印刷業を基盤にしていることのおもしろさ、多角的な事業展開の背景

柳原:紙は日常的に使うもので、用途も非常に多様です。商業印刷を基盤にしていることで、名刺や帳票、チラシが必要なときから、ホームページ制作やプロモーション企画まで、お客様の困りごとに広く対応できる窓口を持っている点が強みだと思います。特定分野の専門会社だと、困りごとが起きたときにしか声がかかりませんが、相談の間口が広いということは、それだけビジネスチャンスが多いということになります。紙の相談があるお客様にWebを活用した付加価値の高いサービスを提供できれば、お客様もうれしいのではないかなと。もちろん、すべてをセキ一社でできる訳ではないので、それぞれの分野で専門的なスキルを持つ会社と協業して課題解決するケースはたくさんあります。印刷業の歴史があるからこそ広い横のつながりがあり、Webのような新しい分野の会社とのつながりもあります。セキがこの仕事で、この規模で、この歴史があるからこそできることです。まずは相談してもらうことを大切にし、必要な専門会社を巻き込みつつ課題解決する流れをもっとつくっていきたいと考えています。
印刷からWeb、またそれ以外の分野に関しても、どうやってたくさんの相談をいただき、どう課題を解決しながら、仕事につなげていけるかが大切だと考えています。

 

(ペットとの暮らしの情報を届けるフリーペーパー「Collar」のWebサイト)

(ペットとの暮らしの情報を届けるフリーペーパー「Collar」のWebサイト)

 

――愛媛という場所で仕事をし、生活をすることのメリット・デメリット

柳原:仕事面でのメリットはお客様の経営と距離が近いところで仕事ができる点ですね。会話そのものがとても勉強になります。デメリットは情報面で、最新情報を入手するための労力が都会と比べて大きいですね。都会では、新しいサービスを検討する場合でも電話ひとつで会社まで来てくれますし、セミナーや展示会で情報収集する場合でも電車で少し足を延ばせば行くことができますが、地方ではそうはいきません。Uターン当時はある程度最新の感覚を持って帰ってきたつもりでも、気づかないうちに情報量の少ない層に属してしまっている危機感があります。
また、愛媛県の商圏ではセキという企業名が広く認知されていて、営業面では非常にありがたい環境にあります。これまでの歴史や貢献度、なにより先輩方の努力の積み重ねが資産になっていると感じます。しかし、一歩商圏を出ると何の会社なのかというところから話を始めないといけない難しさを感じます。

生活面でのメリットはまずは住環境ですね。例えば、家を買う場合一つとってもハードルが全然違います。一例として、可処分所得が増加しました。地方の給与水準が低いという話はよく耳にし、実際Uターンの際に年収は大きく下がりましたが、生活のゆとりはUターン後の方があります。住宅ローン等を考えると愛媛の方が負担は少ないので、その分を子どもの教育費に充てたりでき、地方の暮らし方が豊かだと感じます。生活面でのデメリットは全くと言っていいほど感じていません。

 

(セキ本社の社屋=愛媛県松山市)

(セキ本社の社屋=愛媛県松山市)

 

――仕事を続けることのモチベーションと、これからの将来像

柳原:会社から自分が培ってきた考え方やスキルが求められ、会社の展望と自分の将来像のベクトルがあっている感覚を大切にしています。インターネットの仕事が生業だと思っているので、セキの事業展開の中にWebという要素を取り入れることで、会社や地域が盛り上がり、みんなが幸せになれるのなら貢献していきたいという想いです。
また、働き方の改革にスピード感を持って対応する会社の姿勢は、働く立場として安心感につながっていると思います。どんなにやりがいがあったとしても、家庭や生活面がうまくいかないと働き続けることは難しいと思います。
将来のキャリアビジョンとしては、地方におけるWebの活用において、影響力のあるポジションを築いていきたいと考えています。地域に対して考えてきたこと、つくってきたものが、認められるポジションになっていかないといけないなと。そのためには、よりたくさんの成功体験を積み重ねるために日々努力し続けないといけないと思っています。
そして会社としては、松山のセキから、「四国のセキ」・「日本のセキ」・「世界のセキ」というキーワードがよく出てきています。日本中で、セキといえば愛媛にあるこんな会社だというイメージをつくりあげていく中で、情報をクリエイティブに扱える会社を目指したいですね。今までは紙に印刷したものが情報でしたが、デジタルが普及し、紙なのかデジタルなのかは手段となっている中で、提案の目線をより高くしてお客様と向き合っていく空気が生まれてきています。具体的には、「こういう印刷物がほしい」「こんなものをつくりたい」というニーズだけではなく、「売上を上げたい」「集客を伸ばしたい」等、ひとつ上のレイヤーのニーズまで包括的に解決できる会社になっていくことを皆で目指しています。紙にしろWebにしろ、ひとつのメディアだけに捉われず、お客さんの課題解決ができる会社となっていくことで、10年後20年後も益々発展していきたいと考えています。

 

 

●セキの採用ホームページはこちら

https://www.seki.co.jp/fresh/

 

制作:四国経済連合会
取材:一般社団法人四国若者会議

 

四国へ就職・転職し、ご活躍中の皆さんへのインタビューを通じて、
四国の企業やUIJターンに関する情報をお届けします。

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