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約200年、高知の経済に広く根ざす信用第一の会社

  • 入交グループ
  • 2018.02.28
  • 高知県高知市他

職場で、社員の笑い声が響き渡る。
会社でも、学校でも、いつでも輪の中心にいる人がいる。仕事が並外れてできるわけでも、勉強ができるわけでもない。しかし、自然とみんなから慕われ、何かの企画のときに「○○さんも呼ぼうか」と自然と声がかかる人。そんな人に備わっているものは、能力や外見などではなく、何より「信用」なのだと思う。
もし、入交グループに、人と同じように人格があるとすれば、そんな多くの人から慕われる信頼のかたまりのような人格なのだと思う。入交グループは、今も昔もずっと変わらず、200年もの間、高知県民に深く愛され、高知経済の輪の中心にあり続けている会社だ。

 

――高知の誰しもが知る会社、しかし企業内容を説明しづらい会社

「高知に住んでいると『入交』という名前はよく聞きます。しかし、入社前は実は何をしている会社かよくつかめてなかったんです」
入交グループ本社株式会社で総務を担当する伊藤さんはそんな少し笑えるエピソードを教えてくれた。高知の誰しもが知る会社なのに、何をしているか分からない。そんな矛盾を抱えているのは、どういうことなのか。それは、入交グループが、非常に多角的な事業展開を行っていることに起因している。
今回、グループ会社である入交クリエイト株式会社で営業を担当する森さんと、伊藤さんのおふたりから、入交グループという会社の核について話を伺った。

入交グループ本社株式会社で総務を担当する伊藤さん

(入交グループ本社株式会社で総務を担当し、グループ全体の橋渡し役を担う伊藤さん)

 

――多岐に渡る事業展開の背景、石灰・ご縁・信用

伊藤:入交グループは、全体で30数社あります。創業は1819年。最初は石灰の製造販売の事業で、今の南国市の稲生(いなぶ)から始まりました。石灰は今でも幅広い用途に使われていますが、創業した当時の江戸時代は漆喰として建物の壁に使われたり、畑の肥料に使われたりと、今よりもっと生活に近いところで使われていました。明治以降は工業用や化学用へ用途が広がっていくのですが、そういう石灰の実用性・汎用性の高さから関連する商材が広がり、ニーズにこたえる形で扱う分野が増えていきました。資材以外についても、大阪市場への石灰の海上輸送のために海運事業を手がけるようになり、また石灰製造の燃料が木炭から石炭、石炭から石油へと変遷していく中でエネルギー事業を手がけるようになり……石灰というひとつの大きい軸から枝分かれして事業が展開されてきました。
そうして事業分野の裾野が広がり顧客基盤が大きくなっていくと、今度はそこから生まれたご縁でさらに多角化が進んでいく。各所でいただいたご縁に恵まれて今の入交グループがあります。

森:入交グループの社是は、「商は信用第一、経営は堅実に、心には新風を」。この社是に照らして、チャレンジ精神を持ちつつも、流行や儲けに飛びつくのではなく、「お客さんのためになるか、それは本当に入交がやるべきものなのか」を一番大切にして事業を展開しています。
ある土地の利用の件で複数社からお話しを持ちかけられた時、最終的には条件面が有利なお話より地元企業への貸し出しを決定しました。有利な条件のお話の方が莫大な利益が上がるのは分かっていましたが、人とのつながりや地元を最優先に。それでも投資に対して事業収支が見合う事業に多角化しています。信頼を常に一番に考えている会社ですね。

約200年もの間、入交グループは高知経済の輪の中心に根ざし続けている。信用を第一にやってきたからこそ、いろいろな話が舞い込み、各所から頼られる。一見、グループ企業の連なりは無秩序に見えるかもしれない。しかし、多角的な事業展開にはこのような想いのある物語が存在している。

本社にある事業の基盤となった石灰の壁=高知県高知市

(本社にある事業の基盤となった石灰の壁は「信用の積み重ね」を表している=高知県高知市)

 

――グループに身を置く若者の、働く環境・抱く想い

伊藤:グループとして見れば大きく見えるかもしれませんが、1社1社は決して大きくはありません。それゆえ、社内での声は通りやすいし、風通しも良いと思います。まずは各社がやっていることを地場でしっかりやり、それぞれの基盤を固めていくことが大切です。
その上で、若手世代が連携を図っていく、多角化の強みを発揮していくことが出来れば。グループ全体を見ると業種がとても広い。どこでお互いの会社の事業が連携できるか、ビジネスチャンスがあるか分かりませんから。

森:ここ数年でもグループの雰囲気が変わっているように感じています。企画の段階から若手起用も増え、若手に意見を求めることも増えました。例えば、あるグループ横断の企画会議には20代から各社役員まで入って意見交換しているんです。風通しも良く、社長・副社長にアイデアを聞いてもらうこともあり、それに対してもしっかりとお答えやアドバイスをくれます。多角化はしているものの、グループ全体として次の新しいマーケットをつかんでいかないといけないという危機感が広がってきています。経営陣から若手含め、全体で次のビジネスチャンスを考えていきたいですね。

伊藤:これだけ多角化していますから、皆「もっと何かできるのでは」という想いはあります。U・Iターン就職者が外部で習得したノウハウも取り込みながら、個人が抱えているアイデアを具体化させていける環境ができれば理想ですね。

森:アイデアは無理やり強制して出るものでもありません。ただ、窓口を開いておくことは必要です。各グループ会社に所属すると、グループ全体の動きは見えづらくなります。特に若手の時代はそうです。その弱点を緩和するため、グループ全体で横串を刺して若手が集まる場をつくることは重要です。
ここ数年で人口減少の影響について特によく耳にするようになりましたが、立ち止まっていれば入交グループの既存の事業は確実に縮小していきます。既存の事業を大きくするのは難しい中で、新しく大きくなる事業の種を今の時期に植えておく必要があります。若い世代がどうやってソリューションを組み立てていけるか。各社の各個人が、いろいろな情報を持っています。それがグループ全体でつながっていけばと思います。グループのソリューションツールがどういうものがあるかを、みんなが理解してないとアイデアが生まれません。「これなら入交でできるのでは」と思いつけないですから。

伊藤:入交グループは問題解決力のある会社です。自社で解決できない困りごとがあっても、グループの会社を紹介してソリューションを提供できるので。今注力している各社の事業をさらに固めていくこと、これから太らせていく事業の種を撒くこと、両方を並行してできる体力・企業体を持っています。そういったグループの良さを社員一人一人が活かせるようにしないと。

入交クリエイト株式会社で営業を担当する森さん

(入交クリエイト株式会社で営業を担当し、新しい事業への挑戦心に溢れる森さん)

森:将来的には、グループ内ベンチャーのようなものをやりたいですね。グループ全体の基盤が大きいので、そこを利用して。高知全体を活性化するビジネスモデルを構築し、入交グループがリーダー的な役割を担っていければ。雇用も拡大しつつ、海の向こうを見て仕掛けられる事業がないかと考えています。

伊藤:多角化からもわかるように「やってみよう」という精神がある会社です。約200年と一口に言っても、明治維新や大戦下の企業統制、バブルやリーマンショックなどの大きな時代の変革を乗り越えてくる中で、会社の在り方を大きく変えてきました。チャレンジ精神と共に変化を受け入れる土壌も培ってきた会社です。
そして、そういった変化を支えてきた個人の力の重要性を理解しています。各社の各事業で、専門性を求められるところもあります。地元で働きたいという想いのある方はもちろん、技術がある/資格がある人という方にも、まず入交を頭に思い浮かべてもらえれば。グループのどこかを紹介できたり、合致する会社があると思います。

社員ひとりひとりにできることは、まずはグループ各社における着実な業務の推進だろう。しかしその上で、新しい事業に挑戦しようと考えたとき、グループであることが大きな武器となる。アイデアや技術を持った人が、それらをもっとおもしろく展開できる土壌があるのは、他の企業にはない強みだ。

入交石灰工業の工場

(入交グループ本社の社屋=高知県高知市)

入交建設の作業現場

(入交グループの事業の基盤となった、入交石灰工業の工場)

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(入交グループの主要事業のひとつ、入交建設の作業現場)

入交海運の作業現場

(石灰の運搬から派生した事業、入交海運の作業現場)

 

――「高知で暮らす」という夢、実現した豊かなライフスタイル

そして実は、伊藤さん・森さんはふたりとも、転職を経て入交グループのそれぞれの会社に入社している。ふたりが入交グループで働くことを決めた背景には、何より「高知」に対する深い愛着・想いがあった。

森:前職は東京で大手の求人紹介の企業で働いていました。転職に際しての最優先事項は「高知で子どもを育てること」。また、実家の近くで暮らしたいという想いもありました。今は、高知で転勤も無く実家の近くで三世代で子どもを育てるというひとつの夢が実現しています。

伊藤:前職が転勤族で、大阪にいるときに転職を考えました。当時、高知の方との結婚を考えていて、高知で腰を据えて働きたかったことが一番の動機です。前職は、もちろん転勤があることは分かって入社したのですが、いざ家庭を持つとなると改めて単身赴任の難しさを感じました。転勤を通していろいろな経験が積めて良かったのですが、ずっと続けるというのはどうなんだろうと。今は、入社前に想定していたことが大よそ実現しています。家族との時間を大切にできていますし、社風としても大らかな雰囲気です。ワークライフバランスに重きを置いている人も多い印象です。

森:入交グループは中途採用の割合が高い会社です。多くの社員が外の空気を知っており、役職者の中の中途採用者の割合も高く、転職が昇進のハンデになることはありません。都会から高知に帰る人は、都市部の収入に魅力を感じつつも、家族や趣味や生き方等を考える上で、後者を優先した方が多いのではないでしょうか。その中で、地方の企業について全く情報がないことへの不安感が大きい。UIJターン志望の方は高知で働いた経験がない人がほとんどですので、人間関係が不安ですし、どんなライフスタイルで仕事をしているか、どんな人たちと仕事ができるのか、それを実感する機会や、不安のハードルを下げる取り組みが必要だと思います。東京は世界でも有数のビジネス最前線です。大きなビジネスの仕掛けもできる。でも私が選んだ暮らし方は東京ではできませんでしたし、都市部で働かれている方も自然豊かな場所で暮らしたいと思っている方は多い。ただ両方を手に入れることは非常に困難です。私にとっては都市部の暮らしと天秤にかけた時にこれが最高の選択肢だったということです。UIJターンした方のほとんどはそうした価値観を持っている人なのではないでしょうか。

入交グループ本社社屋から海を臨む=高知県高知市

(入交グループ本社社屋からは浦戸湾が臨め、自然が豊かな環境で仕事に取り組める=高知県高知市)

森:前職との違いは、ライフスタイルとの共存が図れること、風通しの良い距離の近さがあることですね。もし仕事以外に何か時間を使いたいことがあるのであれば、それは確実に実現できると思います。
また、今の会社は5人体制で、その上は取締役とグループオーナーです。会社の実情を直接話すこともありますし、色々と聞かれることもあります。

伊藤:各社が小規模なのにも由来するのだと思いますが、個人でスキルを積み上げている人が多く、仕事を任せられることが多いです。「やってみたいことがあればやって良い」「個人でできるだけやってみる」という任せる雰囲気があります。数十人の規模の会社ですと「資金的に難しい」と手を引くような話でも、グループとして体力を持っているので「やってみよう」の精神は育ちやすいのかなと思います。

森:仕事を預けられた時、「こんな大きい話をどうすれば……」と面食らうこともあります。未経験の仕事にチャレンジすることが億劫な人には厳しい環境かもしれませんが、挑戦することに喜びを感じ、達成感を得られる人ならおもしろいと思います。今後、入交グループを拡大、百年生かしていくと考えたときに、何かを創造しながら大きくしていく精神がないと楽しくないと思いますね。

入交グループの社是

(社内各所にも掲示され、入交グループ全体に浸透する社是)

「名は体を表す」という言葉がある。社是である、「商は信用第一、経営は堅実に、心には新風を」。多角的な事業展開にも、社員ひとりひとりの業務にも、そして社内の雰囲気にも、入交グループにはこの言葉が形となって表れている。入交グループの人格は、やはり多くの人から慕われる信頼のかたまりのような人格で間違いなさそうだ。そして、働くひとりひとりにもそれは確実に息づいている。グループ各社で、もちろん業務の内容は異なる。しかし、この社是が表す会社のあり方こそが、入交グループ全体の本質ではないかと感じた。

 

●入交グループの採用ホームページはこちら

 

制作:四国経済連合会
取材:一般社団法人四国若者会議

 

四国へ就職・転職し、ご活躍中の皆さんへのインタビューを通じて、
四国の企業やUIJターンに関する情報をお届けします。

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