job

外国人材が四国で働くことで生まれる価値と可能性

  • アビリティセンター株式会社
  • 2022.7.14
  • 愛媛県新居浜市他

「良い人が採用できない」

地方のほとんどの会社が、この課題を抱えているのではないだろうか。愛媛県新居浜市のアビリティセンター株式会社は、人材派遣・人材紹介等、総合的な人材事業を展開し、その課題に向き合っている。その中で、近年は、外国人材の採用と日本への就業を支援する事業のニーズが高まっている。日本での外国人労働者数は、全国的に増加の一途を辿っており、四国も例外ではない。これからも、四国の様々な業界において、外国人の採用は加速することが見込まれる。

今回、話を伺ったのは、アビリティセンターの王さんとクォンさん。2人は、事業として外国人採用を支援する立場でありつつ、外国人として日本で働く当事者でもある。事業者として、当事者として、両面を理解したおふたりから、四国の企業で外国人が働くこと、またそれを支援する事業を通じて実現したい想い等を聞いた。

 

〈インタビュー相手〉

■ 王 露 (Ou Ro)さん:アビリティセンター株式会社 営業支援チーム マネージャー兼外国人採用支援担当。中国江蘇省南京市出身。

■ クォン ユンジ (Kwon Younji)さん:アビリティセンター株式会社 営業支援チーム 外国人採用支援担当。韓国ソウル市出身。

 

(お話を伺った王さん(左)とクォンさん(右))

(お話を伺った王さん(左)とクォンさん(右))

 

――母国を離れ、日本で働くことを選んだ背景

王:大学2年まで中国で過ごし、3年で日本に来ました。元々大学で日本語を専攻していて、松山の東雲女子大学との交換留学のプログラムに参加したんです。交換留学の2年を終えて短かったと感じ、日本で働くことにしました。

日本に関心を持ったきっかけは、子どもの頃に日本のテレビドラマを見たことですね。そのドラマから、日本人に対しひたむきで頑張り屋な良いイメージを持つようになりました。語学が好きなこともあって大学で日本語を学んだり、日本人留学生とも関わったりする中で、日本の良さを感じるようになりました。

クォン:大学3年の夏休みから日本語を勉強し始め、交換留学の資格を取得して半年ほど千葉大学に交換留学生として通いました。

元々日本に関心を持ったのは、韓国と日本の政治や労働環境の違いからです。政治外交を専攻していたので日本の政治に興味を持ったり、韓国と日本の最低労働賃金に開きがあることに疑問を感じたり、韓国と異なり日本は同一労働同一賃金という方向性に進んでいたり、車椅子の友人と日本を旅行して全然不自由がないことに驚いたり……そういうところから日本の先進性に興味を持ちました。

王:日本は中国と比べて先進国なので、留学や仕事の経験が中国に戻った後にプラスに働くと考えていました。しかし、実際に働き始めると、中国国内の成長スピードがかなり早く、日本での経験は高い価値を生まないかもしれないと思うようになりました。その中で働き続けることにしたのは、日本の働く環境が、自分が望むものに近かったからです。日本は年功序列というイメージが強かったんですが、アビリティセンターは全くそんなことはなく実力で評価されます。中国の友人は、学歴やコネクション等に左右されている人もいて、精神的なストレスは日本の方が少ないと感じました。

松山ではなく東京や大阪で働く方が、チャンスが多いのでは、ということはよく言われます。ただ、個人的には働くことは生活と密接に関わると思っていて。私の実家は都会の郊外で、松山と雰囲気が似ていてのんびりした環境でした。松山は、自分の性格と今まで経験した生活環境と合っていてとてもすごく過ごしやすく、大学の頃から良い人たちに囲まれていたので、松山で暮らすことを選びました。

また、チャンスと言っても、例えばITやマーケティングを学びたいなら都会で働いた方が良いと思いますが、今私は松山で古民家をリノベーションして民泊に挑戦していて、そういうチャンスは地方の方が多くあります。その点でも、愛媛はとても魅力的なところです。

クォン:日本は、競争より協力を重視するイメージはありました。韓国の大学で、2年間校内新聞社に所属していて、日本でもサークルに入ったんですが、運営の仕方が全然違っていて。日本はひとりひとりに役割を与えて和を大切にしますが、韓国は記事の出来が悪いと退部になったり、評価至上主義という感じで。韓国は日本よりも競争を重視する文化があるように思います。

大学生の頃はマスコミ志望で、東京で特派員になりたいという想いを持って就職活動をしていましたが、徐々にマスコミというより、日本と関連性のある仕事がしたい、特に関心を持っていた日本の「労働」の分野に関わる仕事がしたいと思うようになり、人材業界に関心を持つようになりました。

日本企業の就職博覧会に出たりオンラインで選考を進めました。アビリティセンターは官公庁含め様々な企業と事業を進めていたり、実際に営業現場への同行の機会をもらって社員同士や企業との信頼関係も感じられたり、最も業務が魅力的に感じました。

王:私は先ほど話したように、企業に入った時にどれだけ学びを得られるかという判断軸で考えていました。アビリティセンターは、社員への投資がしっかりしていると感じ、自分のレベルを上げられると思ったのと、あとはこの人たちといっしょに仕事をしたら楽しそうと感じたこともポイントでした。ちょうどアビリティセンターが外国人の採用に初めて挑戦しようとしていたタイミングだったこともあります。

実際に入社してもイメージ通りで、積極的な方が多く、チャレンジを歓迎してくれる社風で、やりたい仕事があれば手を挙げれば必ずやらせてもらえるので、とてもありがたい環境だと思います。

 

(打ち合わせを行う王さん・クォンさんの様子)

(打ち合わせを行う王さん・クォンさんの様子)

 

――王さんとクォンさんが今取り組む業務

王:クォンも私も、外国人材の採用を担当しています。特に、IT、機電系、土木建築などの分野のエンジニアの採用を支援しています。今取り組んでいるのは愛媛県からの受託事業、アジア高度IT人材の受入促進業務です。DX推進の一環として、県内企業のIT人材不足を解消するための事業です。今年はネパールの人材の採用を進めています。

やはり少子化・高齢化も進み、地方の企業はなかなか求める人材の採用が難しい状況にあります。特に中小企業はなおさらで、国内の限られた人材を奪い合うより、海外で良い人材を採用していくことが効果的なケースもあります。求人のオーダーをいただいても、日本人では希望に叶う人材が何年も採用できないという企業様もいらっしゃいます。

アビリティセンターは、私やクォンも含め外国人の採用と定着のノウハウをここ10年ぐらい蓄積できています。また、今まで外国人を紹介した企業様での定着の実績もあります。今まで外国人の採用について考えてこなかった企業様や、一歩踏み出すのに躊躇している企業様に、自社のノウハウを活用した情報提供やサポートを行うことも重要な役割だと考えています。

実際に働き始めた頃は、中国と日本の仕事の違いはやはり感じました。交換留学で私と同時に10人ぐらいが日本に来たんですが、日本に残ったのは私だけなんです。中国に戻った友人に聞いてみると、スピードの差を1番感じましたね。日本は教育熱心というか、新入社員にすぐに大事な仕事を任せず、教育に時間をかけて既存の仕事から任せますが、中国が若手に業務を任せるスピードはそれよりかなり早いんですよね。なので、最初の3年ぐらいは中国の同級生と比べて劣等感を抱いていたんです。仕事の量・役割・給与の上がり方もすべて中国の方が早かったですね。年数が経てば差は小さくなってきましたが。

 

(お話を伺った王さん)

(お話を伺った王さん)

 

――人と関わり向き合い変化を生むことのやりがい

王さんとクォンさんに過去に印象に残っている仕事や、今の仕事のやりがいを聞くと、共通して語られたのは、「働く」という人の根幹に関わることのやりがいだった。人に向き合い後押しをすることで、それこそ人生を変えるような変化も目の当たりにすると言う。

王:営業担当をしていた頃、アビリティセンターは特に仕事の受注がなくても定期訪問して状況をお伺いする企業があるのですが、その中で先輩が30年通い続けて1件も仕事が生まれていない企業がありました。正直に言うと、何のお話を持っていくか掴みどころもなく、訪問するのも苦しかったのですが、会社の方針に従って訪問していました。1年ほど訪問を続けた頃、今まで女性の総合職の採用をしたことがなかったその企業が、初めて採用した女性の総合職の方の定着について試行錯誤しているという話をしてくださったんです。自分が女性の総合職で、また上司も女性だったので、アビリティセンターはどのようにダイバーシティ推進の取り組みや、女性社員が働きやすく活躍できる環境づくりを進めているか、話を聞かせてほしいと言っていただき、研修の受注に始まり、今は求人をいただくまでになりました。女性の総合職として働いている自分が良い役割を果たせたことで話が進み、達成感がありました。また会社の方針への共感も増しました。

仕事を通じて、精神的に強くなったなと思います。これは生活にも良い影響を与えていると思いますね。また、様々な企業様に営業の機会を持つ中で、経営者との会話も多く、自分の視座が高くなったとも思います。チームのメンバーの成長に触れる機会も多く、社内外ともにその人の人生が変わるところをいっしょに見ることができます。人に影響され、人に影響を与えることに、特にやりがいを感じますね。

クォン:自分の仕事が本当に必要だと実感したのは、ミャンマーの内定者の方と交流会をしていたときに、その方が「自分にとって日本で働くことは唯一の希望だ」と訴えてこられたことがあって。そのとき、自分の仕事がただ給料をもらうという意味ではなく、誰かにとって生きていくための、その人の人生の根幹に関わるものだと気づいて、自分にとっての仕事の意味が大きくなりました。

外国人の方はチャレンジ精神を持っている方が多いです。挑戦しようと思っている人の後押しができることが大きなやりがいですね。

アビリティセンターでは、人が好きで人と関わるのが好きな人、相手のために考えられる人、会社の雰囲気としても仕事としてもそんな人が求められるんじゃないかなと思います。ホスピタリティがある方が多いと感じますし、自分の上司もとても包容力のある方で、そういう考えを持っている方が経営陣にいる会社で良かったなと思います。

 

(お話を伺ったクォンさん)

(お話を伺ったクォンさん)

 

――これから挑戦したい仕事、実現したい社会や未来につながる

充実した今の仕事に止まらず、未来に目を向けると、王さんもクォンさんもまだまだ挑戦したいことがあると語る。それらは、2人の実現したい社会や未来に、確実につながっている。

王:様々な働く人と接し、多くの方の変化をこの目で見ることができたので、そういう人たちを取材して変化を記録して多くの方に発信するような仕事ができれば、意義があるかなと思っています。有名ではない普通の人から学べることも多くありますし、人にフォーカスしてPRできるような仕事に挑戦してみたいです。

また将来的には、脱サラリーマンをしたいとも思っています。そのときはアビリティセンターとは協業のような形で仕事をできればと思いますね。ゆくゆくは、全員が組織に所属するよりも、もっと自由な働き方になっていると思うので。仕事と自分がやりたいこととを同時にやれたらと思います。

クォン:私は、弊社のマレーシア支社で働いてみたいですね。英語能力を向上させたいと思っているのと、これから人口が増え急激な経済成長が見込まれる東南アジアの中心の都市なので、急成長する社会・環境を体感してみたいです。

また、もうひとつ、地方創生に関する取り組みや発信もしていきたいです。私は韓国ではソウルに住んでいたのですが、日本に来て、日韓の違いよりも都市と地方の違いを強く感じました。都会と地方の長所と短所を理解したからこそ、その体験と知見を発信することができればと考えています。

もう少し未来まで考えると、自分がどんな社会に住みたいかとつながると思うんですが、社会で助けが必要な方々に仕事が提供できるような事業に携わりたいと思います。例えば、ヤングケアが社会問題化する中で、解決策として家事代行を派遣する国からの支援がありますが、そういう社会で必要となる仕事に関わることができればうれしいです。

王:アビリティセンターが四国の企業に外国人材を紹介することは、地方への貢献のひとつだと思うんですが、ただ単純にほしい人材を海外から引っ張ってくるという話ではないと思うんです。海外から人が来ることによって、いっしょに働くメンバーがその人から刺激を受け、ずっと地方で生活をする人たちにも刺激を与えることになると思うんですね。今ここにいる人たちと、海外から来た人たちの間に、本来壁なんかないと思うので、そこを融合してみんな同じ立場でいっしょに生活していける社会にしたいと思っています。今はまだ、外国の人というと不安や心配があると思うんですが、その壁をなくしたい。そのためには、やはり実績が必要になると思うので、良い事例をたくさん増やして、今の仕事を通じて実現したいと思っています。

 

(資料を見ながら話し合いをする王さんとクォンさん)

(資料を見ながら話し合いをする王さんとクォンさん)

 

――外国の人材を受け入れる企業、外国人として働く人、両面を知る2人が大切に思うこと

最後に、企業の外国人材の雇用を支援する立場として、また母国を離れ日本で働く当事者として、両面を深く知る王さんとクォンさんに、雇用する企業側、働く側、それぞれがどういう意識を大切にすると良いかを聞いた。

王:まず、雇用する企業側でいうと、自分たちの当たり前を人の当たり前と思わないようにしてほしいです。海外から来る方は、バックグラウンドが違うため、意思疎通ができなかったり、誤解したりということが必然的に多くなると思います。その時に自分の基準で判断せずに相手の話を聞いてほしい、それが1番大事だと思います。双方向のコミュニケーションはとても大事だと思っていただきたいです。

働く側としては、外国人はどうしても少数派になり、日本でずっと働いている人と違いが出ることもあると思うんですが、その時に「外国人だからそうされる・言われる」と思わないでほしいです。仕事の結果での話かもしれないのに、国籍が原因じゃないかと思い込んでしまっている人が多いと思います。そう考えると抜け出せないですし、挫折があったときに国籍を言い訳にしてしまうので、物事を冷静に考えることが大切だと思います。

クォン:雇用する企業側としては差別につながるものを無くすこと、それを意識することだと思います。国籍による差別で傷ができると、ネガティブな考えにつながりがちなので、これが差別にならないか、意識して心がけておくことが大事ですね。あとは、相談窓口を設置することも大事ですね。外国人だからこそ、質問はたくさん出ますし、迷惑をかけたくないという想いは多くの方が持っているので、確認できたりSOSを出せたりする場所があることが大事だと思います。

働く側としては、どうして日本で働きたいのかを自分の中で明確にすることだと思います。周りに言われてもぶれない芯があれば、大変な時にも頑張れますし、学ぶ姿勢やモチベーションも生まれるので。

 

●アビリティセンター株式会社の採用ホームページはこちら
 

制作:四国経済連合会
取材:一般社団法人四国若者会議

 

四国へ就職・転職し、ご活躍中の皆さんへのインタビューを通じて、
四国の企業やUIJターンに関する情報をお届けします。

New Job