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愛媛の“いいもの”に光を当てる。“好き”をライフワークにする

  • 株式会社エイトワン
  • 2021.4.7〜
  • 愛媛県松山市他

株式会社エイトワンは、一言で事業を説明するのが難しい会社だ。今ではブランドとして広く認知される今治タオルを取り扱う「伊織」、愛媛の柑橘を使った商品の開発・販売を行う「10“TEN”」、宇和島の伝統的な鯛めしを提供する飲食店「丸水」等、様々な事業を展開する。無理やり一言で言うならば、「愛媛の“いいもの”に光を当てる」会社だ。

エイトワンの事業は、道後温泉のホテル経営から始まった。ホテルのお客様から「今治タオルはどこで買えるの?」と尋ねられたが、当時松山では今治タオルを買える場所がほとんど無かった。「せっかく“いいもの”があるのにもったいない」と感じ、「伊織」の事業が生まれ、今では愛媛の様々な産業のリブランディングを手がけている。

エイトワンでは、社員の目指す方向性として、「“好き”をライフワークにする」ことを掲げた。愛媛の“いいもの”に光を当てること、“好き”をライフワークにすること。ふたつの理念を体現する、松浦巧枝さんと中村優花さんにエイトワンの仕事について話を聞いた。

 

〈インタビュー相手〉

■ 松浦 巧枝(まつうら ことえ)さん:株式会社エイトワン 営業推進本部マネージャー/クリエイティブ部/販売促進部

■ 中村 優花(なかむら ゆか)さん:株式会社エイトワン TEN事業部 販売部 10FACTORY本店 副店長

 

(お話を伺った中村さん(左)と松浦さん(右))

(お話を伺った中村さん(左)と松浦さん(右))

 

みかんが好き、ファンとして魅力を広めることが自分の役割

中村さんは、10“TEN”の本店の副店長を務める。2017年に新卒でエイトワンに入社し、愛媛県にIターン移住した。

中村:埼玉県の生まれ育ちなんですが、物心ついたときからみかんが好きだったんです。味も形も香りもすべて。小学生の頃は、給食で冷凍みかんが出ると余ったものを全部もらったり、図鑑で調べたりしていました。また絵を描くのも好きで、大学では美術を専攻し、グラフィックデザインを学びました。制作でみかんをよくモチーフにしていましたね。

大学時代に、「みかんにこんな見せ方ができるんだ」と驚いたのが、10“TEN”でした。シンプルなデザインで統一されながら、柑橘類の収穫品目数が日本一の愛媛らしく、種類ごとに異なる魅力を伝える世界観に衝撃を受けました。

就職活動では、柑橘に関わる仕事をしたいと思いつつも、「好きなものを仕事にするのは賭けだ」と言われて迷い、デザイナーや飲食での就職も考えました。しかし、愛媛のみかん農家さんのもとを訪れ、「産地に住みたい」という想いが強まりました。私は柑橘のファンなので、つくることは農業のプロに任せ、魅力を広めることが私の役割だと考え、エイトワンに入社しました。

 

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(中村さんが運営する10“TEN”の店舗)

(中村さんが運営する10“TEN”の店舗)

 

「愛媛にこんなおもしろい感性を持った会社があるんだ」という驚き

松浦さんは、伊織の商品開発ディレクターと販売促進マネージャーを務める。商品開発は、リサーチ、企画、メーカーと連携した生産管理までを一気通貫で行う。販売促進は、特にコンテンツマーケティングに取り組んでいる。

松浦:私は愛媛出身で、高校卒業後、ビジネスパートナーと松山にセレクトショップを立ち上げたんです。そこで初めてWebデザインに触れて関心を持ち、店舗経営からWebデザイナーへ転向しました。当時はWebデザイナーが少なく、行政の大きな案件も受けたりしていたのですが、独学での仕事に危機感を覚え、東京のIT企業に入社しました。デザイナーとディレクターを担当し、新規事業の立ち上げも経験し、数名だった会社は急成長し上場も果たしました。

そんな中、鎌倉で、たまたま伊織を見つけたんです。いろいろなデザイナーとコラボしたり、おもしろい取り組みをしていて、『こんな感性を持った会社が地元にあるんだ』と驚きました。

調べてみると、創業のストーリーが本当に破天荒で。ホテルについて全くの素人だった創業者が、土地を買い、ホテルを建てて、そんな会社は日本中探してもここしかないんじゃないかと。「とんでもなくおもしろい経験ができるかもしれない」と思ったんです。

求人も出ていない中でしたが、メールを送り、面談を経て入社しました。愛媛に戻りたいとは全く思っておらず、そんな素振りもなかったので、東京の友達はびっくりしていましたね。

 

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(松浦さんがデザインした伊織のタオル)

(松浦さんがデザインした伊織のタオル)

 

愛媛という場所、エイトワンという場所

それぞれ異なる背景を持ち、愛媛に移住した中村さんと松浦さん。愛媛という場所、エイトワンという場所について、どのようなことを感じたのだろうか。

中村:初めて愛媛を訪れたのが大学3年の時で、まず初めて路面電車を見て驚きました。愛媛は時間や人の流れがゆっくりで、最初から良い印象だったので、移住に不安はありませんでしたね。都会では満員電車で苦痛な通勤も、愛媛では自家用車か自転車なので負担になりません。産直で新鮮な野菜や魚介類が買え、一次産業に近い地域の強みを日々感じています。

松浦:私は働くことを決めてから愛媛に戻るまで時間が無かったので、愛媛という場所への印象を抱く間もなかった感じですね。ITという形のないものから、誰もが触れるタオルに関わることの楽しみが大きかったと思います。

働き始めて感じたのは、とにかく人が優しいことですね。前職は気づいたことはすぐ発言して指摘し合う環境だったのに対し、優しすぎるぐらいの印象でした。

中村:みなさん穏やかで優しくて自由で、楽に息をさせてもらえる感じですね。良くも悪くも「会社」という印象を崩してくれる場所で、人間関係に悩む友人のSNS等を見ると、いかに人に恵まれた環境か実感します。

 

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(伊織道後店の外観)

(伊織道後店の外観)

 

(伊織道後店の内観)

(伊織道後店の内観)

 

エイトワンの仕事を通じて実感するやりがい

それぞれの想いや期待を持って働く中で、印象に残るプロジェクト、やりがいを持って取り組む仕事についても聞いた。

中村:農家さんへの訪問・取材ですね。 大学生の頃は「みかんが好きで来ました。いろいろ教えてください」という訪問でしたが、今は「愛媛のみかん産業を継承する」「柑橘のある豊かな暮らしを提案する」という理念を持つ会社の一員として、愛媛のみかんの良さを多くの人に知ってもらうために訪れています。ステップアップした姿での訪問は、恩返しにつながる第一歩のようでうれしいです。もっと多くの現場を知り、現場の風景やストーリーを伝えたいですね。

あとは店頭でお客様と話して、知らなかった情報に触れて喜んでもらえるとうれしいですね。移住前は、愛媛の方は当たり前にみかんに詳しいと思っていましたが、そうではない方も多くいらっしゃいます。身近にあって当たり前過ぎて気づいていないみかんや愛媛の良さを伝えることも、自分の役割のひとつだと感じています。

松浦:最初につくったタオルのプロジェクトが思い出深いです。タオルのことを何も知らないまま入社し、初めて企画が通り、工場の方から糸や繊維についてゼロから教えていただいて、試作を繰り返して製品化しました。ITもタオルも同じで、実践が一番勉強になるんですよね。

私の場合、「やれることがある」ことがモチベーションになっています。まだ課題がたくさんあるんです。商品開発チームは私ひとりが開発を担当しているので、人を育てて新しい感性を入れたいですし、販売促進チームはコロナ禍で新しくできたばかりで、ビジョンを形にすることにやりがいを感じています。

中村:エイトワンで働く方は、こだわりや意志、何かぶれないものを持つ方が合うと思います。みんな優しくて、柔軟で自由なので、従うだけだとただ時間が過ぎてしまいます。やりたいことを提案できるので、新しいことにアンテナを張って積極的に挑戦する方が働きやすいと思いますね。

 

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(手がけた商品を手にとって説明する中村さんと松浦さん)

(手がけた商品を手にとって説明する中村さんと松浦さん)

 

農家に還元できる仕組み、農家のファンになる仕組みをつくりたい

中村さんが抱く、「農家さんのストーリーを伝えたい」という想い。深掘りすると、農家の個性を大切にし、農家への恩返しに本気で向き合う、真っ直ぐな想いに触れられた。

中村:自分の根底には、自分を突き動かしてくれる柑橘、つくってくださる農家さんへの感謝の想いがあります。農家さんにより良い形で恩返し・還元できる仕事を続けたいと思っています。まずは、柑橘の様々な種類を需要に合わせて知ってもらうこと、農家さんや柑橘の生産の背景やストーリーを伝えること、そして農家さんのファンになる仕組みをつくることですね。

本当は農家さんの想いや生産の過程をひとつずつ全部紹介したいぐらいなんです。個性が豊かで、スタイルが違うところが良いんです。みんな自分の柑橘が1番おいしいと胸を張って言いますから。多様な個性を残しながら、それぞれのかっこよさを伝えたいです。柑橘ソムリエの資格も取ったので、柑橘の違いと魅力をストーリーと共に直接伝える機会を小さくてもつくりたいですし、店舗を持つエイトワンの強みを活かして、飲み比べ等で体験できる場を増やしたいです。

 

(商品の説明をする中村さん、柑橘の違いと魅力をストーリーと共に伝える)

(商品の説明をする中村さん、柑橘の違いと魅力をストーリーと共に伝える)

 

イレギュラーをおもしろがれる人が増えること

「やれることがあることがモチベーション」と語る松浦さんは、自身の想いやビジョンだけでなく、エイトワン全体が目指す方向性について語ってくれた。

松浦:今まで目の前のことを積み重ねてきたので、個人のビジョンはあまりないんです。エイトワン全体で言うと、もっと裁量制を導入すること、ひとりひとりの専門性を高めることですね。社員が他所から引き抜かれるぐらいの人材に育ってほしいなと。

あと、私がエイトワンに関心を持ったのは、創業時の破天荒なストーリーからでした。なので、イレギュラーをおもしろがれる人が増えると良いと思っています。突拍子もないミッションを与えられたときに、「できない」ではなくまずやり方を考えられる人。つまり、物事を多方面から見られる人ですね。そういう人が増えると、創業のスピリットがより強く体現でき、おもしろい事業が生まれると思います。非常識な中にこそ、新しいおもしろさがありますから。

私は、仕事でおもしろいことを真剣に突き詰めることで、仕事の重要性が報酬より経験に変わっていきました。役に立つというベースを持ちながら、常識から入らず、やりたいことがプロジェクトとして立ち上がり、おもしろい経験ができるチームに、エイトワン全体が成長できればと思います。

 

(オフィスで企画やデザインに取り組む松浦さん)

(オフィスで企画やデザインに取り組む松浦さん)

 

好きなことを仕事にして、良かった

最後に、中村さんと松浦さんは、「好きなことを仕事にすること」をどう捉えているのか、聞いた。

中村:好きなことを仕事にして、良かったと思います。エイトワンと自分の考えの共感値が高いことが大きいですね。そこが乖離していると、やりたくないことをやらざるを得なくなって辛かったと思います。柑橘を新しい視点で深掘りできるようになり、好きなものに費やした時間がより大きく誰かの役に立つ実感が強くあります。

松浦:私は好きなことが年齢と共に変化していると感じます。グラフィックデザインからWebデザインを経て、タオルのデザインに携わり、ものづくりはずっと好きです。加えて最近は、チームで動くおもしろさを感じ始め、チームが育つことでできることが増えるおもしろさを感じていますね。

 

冒頭、エイトワンは一言で説明するのが難しい会社だと書いた。ふたりの話を聞き、エイトワンは、強い個性が集まる会社だと感じた。優しすぎるメンバーが集い、愛媛のために“いいもの”に光を当てる。しかしそれだけでなく、ひとつひとつの事業に強い想いを持ち、かつ常識外に挑戦するマインドも持ち、形にする。だから、ひとつひとつの事業が持つ個性、ひとりひとりの社員が持つ個性が強い。これから、愛媛の“いいもの”に、どんな想いを持つメンバーが、どんな光の当て方をしてくれるのか、楽しみになった。

 

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●株式会社エイトワンのWebサイトは、「伊織」についてはこちら、「10“TEN”」についてはこちら

 

制作:四国経済連合会
取材:一般社団法人四国若者会議

 

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